伊那の体操のお兄さん
2021.03.28伊那の体操のお兄さん 山岸 和成さん。2018年、伊那市地域おこし協力隊スポーツ振興コーディネーターの着任をきかっけに横浜からUターン。卒業を迎えて、目指す先は?
控えめな少年がかず先生になるまで
伊那の体操のお兄さんとして、すっかりおなじみのかず先生。スポーツ万能な姿に憧れている子どもたちも多いはずで、人気も絶大です。
「幼少期は控えめな少年でした」
元気いっぱいに子どもたちと遊んでくれるかず先生。小さな頃は大人しくて、スポーツとの出会いも中学生でサッカー部に入った時と遅めだったそうで、今の姿からは、なんだか意外。
高校を卒業して、「スーツ、PC、デスクワーク」じゃない仕事をもとめて、アスレティックリハビリテーションを学ぶ東京の専門学校へ。
学校生活で、スポーツと生きている人々に出会います。日本代表レベルのプレーヤー達に囲まれ、リハビリ支援をする日々。怪我から現場復帰までの過程に携わる中で、選手が競技レベルへ近づいていく達成感と、自身も選手としてプレーしたい気持ちを同時に抱きました。自分のやりたい事を整理した結果、辿り着いた答えが幼児体育でした。
横浜市で就職し、幼児体育に8年間従事。1日に15クラスを担当することもあるなど、多忙な日々を送り、子ども達や保護者の笑顔にやりがいを感じながら沢山の人と触れ合ってきました。しかし、仕事の性質上、我が子の行事に参加出来ない先輩達の姿に葛藤を覚える事も。同時期に東日本大震災を経験したことで、地元への愛着を自身の中で再認識しました。今後の働き方・生き方について考えた結果、伊那市への帰省を決意。
地元でスポーツを仕事に生きていく
地元に帰ることは決めたものの、「地元でスポーツを仕事にして生きていくことはできないだろう」と思っていたそう。
そんな時、偶然にも伊那市地域おこし協力隊で「スポーツ振興コーディネーター」の仕事があることを知り合いから聞きました。着任をきっかけに、地元伊那市に帰り、かず先生として活動を開始。
ストレッチ教室(大人)
親子ふれあい教室(親子)
うんどう教室(幼児〜児童)
これらを通して、幅広い世代がスポーツと触れ合う機会を創出してきました。前職の幼児体育のスキルを生かし始めたのは、保育園の循環指導です。運動会練習、プール指導、集団あそびなどを、ニーズに合わせて行いました。
コロナ禍には、伊那市広報課と協力した家でできる体操動画制作や自転車の練習や逆上がりの練習を指導するスポーツ家庭教師も実施し、新しい取り組みにもチャレンジ。
この3年間の参加者数は、教室累計 約1,800名 保育園巡回指導 72件(累計園児数 約2,900名)
日々の地道な触れ合いや活動を通して、地域でたくさんの人たちに知られる存在になりました。
地域の運動を見守り続ける
卒業後は、活動時に積み上げてきた取り組みをもとに2つの柱でがんばっていきたいといいます。
●伊那市総合型地域スポーツクラブ
運営スタッフとして活動
地域の健康と暮らしに寄り添ったコミュニティ形成、地域活性
保育園巡回指導を継続
●うんどう教室の立ち上げ
サークルとして創設
定期、出張、家庭教師など様々な需要を探求
地域の子どもたちの可能性を伸ばしていく
長期的な活動を見越して、地域に根ざした活動を続けていきたい。そして、自分自身も「伊那に生きる、ここに暮らし続ける」、そう感じているそうです。
http://inasougo.com/lecturer/lecturer-8068/
photo by Rika Kubota text by Satoko Tanaka