伊那谷ふぃーる

日々の暮らし

Case1 日下部 良也

木工職人 日下部 良也。伊那に暮らして今年で20年。大阪を恋しく思う日もあるが、どっしりと根付く森の木々のように、気がつけば伊那谷の地に自然と根差し、豊かに暮らしている。

 

 

 

週末ランチ当番
 

料理が好き。
特に、週末のお昼は率先してキッチンに立ち
家族のためにお昼ごはんをつくる。 

 

  
得意料理は、シンプルだけど卵料理。
いちばんのお気に入りは、
「ハムタマゴサンド」で
試行錯誤を重ねて、
今の形に落ち着いた。

 

 
ベストな厚さだと思っている
5枚切りの食パンをトースト。
真ん中に切れ目を入れて、
薄焼きの卵焼きとハムをサンド。
味付けは塩胡椒とマヨネーズで、
できあがり。
  
 
 

 

大阪少年時代
 

少年時代は、かぎっこ。
大阪の梅田近くの福島区出身。
今は高層ビル建ち並ぶ都会だが、
当時はいわゆる下町だった。

 
小学校高学年になると、
夜、両親が仕事で遅くなる時は、
渡された小遣いで、
近所の行きつけの中華料理店に
一人で行くのを楽しみにしていた。
 
 
「今日はお父さんとお母さん、いないのか」
お店の中国人のおっちゃんが、
片言の日本語で話しかけてくれた。
 
 
いっちょまえに「とり天」と答えて、
一人でごはんを食べる。
今思えば、大人になった気分で
孤独を楽しんでいた。

 
 
当時から料理を作るのも好きで、
卵嫌いな友達に卵焼きを振舞ったことがあった。
「うまい!」って言ってくれたなぁ。
その時から、卵料理が好きになったのかもしれない。

 

 

 

お気に入りの薪ストーブ前
 

寒い時期が長い伊那谷地域。
11月から湿度がこもる
梅雨時期まで薪ストーブを使っている。

 
 
薪も自分で用意する。
年を重ねても薪の手割りを
続けたいと思っている。
 
 
コスト面もあるが、
体力作り、心と体のリフレッシュ、
そして木工職人として木がどう割れるか、
成り立っているか感じて、
知っていたいから。

 
 
薪ストーブの前に座って読書をしたり、
お酒をのんだり、うたた寝をしたり。
火を見ていると落ち着く。
人間の本能に組み込まれているのだと思う。
 
 
この日選んだ本は、
上伊那の歴史や地名が書かれたもの。
 
 
伊那に暮らして今年で20年。
大阪を恋しく思う日もあるが、
どっしりと根付く森の木々のように、
気がつけば伊那谷の地に自然と根差し、
豊かに暮らしている。
 
 
 
 

 

PROFILE
木工職人 日下部 良也
1971年生まれ。大阪府出身。二児の父。2001年、木工職人を目指し伊那市へ移住。移住先に信州を選んだ理由は、子供の頃、山好きの父と何度も訪れており、その時の美しい風景が脳裏に残っていたからだという。移住して30歳からの挑戦。紆余曲折の末、建具の見習い2年、アルバイトをしながら空き家で木工職人としての腕を磨いた3年間を経て、株式会社 フォレストコーポレーションとの出会いをきっかけに、念願のマイホームとともに「木工房KUSAKABE」を開いた。現在、木工職人としてオーダーメイド家具・小物・おもちゃを製作。木工体験の講師やみはらしファーム内の木棲舎で商品の展示・販売、製作体験を行う。地域活動にも積極的に参加。伊那市ミドリナ委員会委員、西地区環境整備隊、伊那西を盛り上げる会〝Wassai”(わっさい)メンバー、2020年4月からは伊那市消防団長を務める。